プレスリリース

2015.10.13

トポロジカルな電子構造をもつ新しい超伝導物質の発見 -トポロジカル新物質の探索に新たな指針 - : 量子相エレクトロニクス研究センター 石坂香子 准教授 等

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の坂野昌人大学院生、同研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター 物理工学専攻の石坂香子准教授らの研究グループは、東京工業大学応用セラミックス研究所の笹川崇男准教授、広島大学放射光科学研究センターの奥田太一准教授らと共同で、新しい超伝導物質PdBi2がもつトポロジカルな電子構造を実験的に検出するとともに理論的に証明し、トポロジカル超伝導の研究やさらなるトポロジカル新物質の探索にむけて大きく貢献しました。

私たちの身の回りの物質はこれまで電気的性質により金属、半導体、絶縁体、超伝導体などに分類されてきました。ところが近年トポロジーという数学的概念を電子状態に対して考慮することにより、真空と異なるトポロジカルな性質をもつ「トポロジカル物質」というそれまでにない分類が出現し、物理学、数学だけでなく化学、工学の広い分野にわたり注目を集めています。トポロジカル物質のもつ本質的な特徴として、固体内部とは異なる特殊な電子が表面に存在し、それらが新しい電気的・磁気的機能の担い手となる可能性があるからです。その中でもトポロジカル超伝導体では表面にマヨラナ粒子と呼ばれる普通の電子とは全く異なる仮説的な粒子が出現することが予言されており、その特異な統計性を利用した新機能デバイスへの応用も期待されています。

今回研究グループは、パラジウム(Pd)とビスマス(Bi)で構成される新規超伝導体PdBi2がトポロジカルな性質をもつ物質であることを明らかにしました。先端的なスピン分解・角度分解光電子分光法を用いて特異な表面の電子状態を実験的に直接検出するとともに、その表面状態がPdBi2のもつトポロジカルな性質により出現するものであることを第一原理電子構造計算により証明しました。本研究成果をもとに、新たな指針に基づくトポロジカル超伝導体の研究やトポロジカル新物質の探索が大きく進展することが期待されます。



本研究成果は、英国科学雑誌『Nature  Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)』(10月13日電子版)に掲載される予定です。

 

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