プレスリリース

2015.08.10

革新材料・グラフェンの大量生産に大きな指針 -電子レンジとイオン液体で高速、高効率なグラファイト剥離に成功-:化学生命工学専攻 相田卓三教授 等

1原子分の厚さしかない2次元炭素シート、グラフェンは導電性、機械的強度、熱伝導度などの物性を異次元の高さで併せ持つ、「奇跡の材料」(“the miracle material”)として多大な注目を集め続けている。近年、このグラフェンを用いた基礎・応用研究を通じて既存の技術を圧倒的に凌駕する数々の成果が報告されている。しかしながら、グラフェンが発見されてすでに10余年が経つにも関わらず、グラフェンの恩恵は現段階においては研究室の外まで広がっていない。これは高品質グラフェンの大量生産法が確立されていないためである。

今回、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の相田卓三教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター 副センター長兼任)と同大学院工学系研究科の松本道生大学院生らの研究グループは、新しく合成開発したイオン液体とマイクロ波の組み合わせを用いることで、30分という短時間に天然グラファイト(グラフェンの積層体)を1層、1層のグラフェンへと破格に高効率(単層グラフェン選択性:95%)に剥がす手法を開拓した。この手法では原料グラファイトに対し生成物であるグラフェンを93%という高い効率で回収することが可能で、さらに得られるグラフェンは構造欠陥をほとんど含まず、また、剥離が完全に進行しないがゆえに生成される複層物のグラフェンによる実験汚染も少ないことを明らかにした。

本研究によって示されたグラファイトの破格な高効率剥離法は、より複雑・高機能なナノ構造体に関する科学技術の進歩と次世代エレクトロニクス分野での応用に大いに貢献すると期待される。

なお本研究は、総合科学技術・イノベーション会議の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)により、科学技術振興機構を通して委託されたものです。

 

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