プレスリリース

2014.12.12

小型イオン推進システムの宇宙作動実証に成功 -100 kg以下の小型衛星における世界初のイオンスラスタ作動- : 航空宇宙工学専攻 小泉宏之准教授 &中須賀真一教授

東京大学先端科学技術研究センターの小泉宏之准教授と次世代宇宙システム技術研究組合(代表理事:山口 耕司)が共同で開発を進め、ロシアのヤスネ基地から2014年6月19日19:11(UTC;日本時間20日午前4:11)に打ち上げられた超小型衛星「ほどよし4号」に搭載した小型イオン推進システム(MIPS:Miniature Ion Propulsion System、表1)の宇宙での初作動に2014年10月28日成功しました。現在、「ほどよし4号」において小型イオン推進システムの初期運用を行っています。これは、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授が中心となり進めている最先端研究開発支援プログラム「日本発の『ほどよし信頼性工学』を導入した超小型衛星による新しい宇宙開発・利用パラダイムの構築」の一環として行われています。

近年、高性能宇宙用推進機であるイオン推進システム(イオンスラスタを搭載した推進システム)は、宇宙探査および商用衛星における実用化が急速に進んでいます。しかし、これまで100 kg以下の小型衛星に対する実用化は、電力およびサイズの制限により実現されていませんでした。本小型イオン推進システムは低電力小型イオンスラスタ(イオンエンジン)を使用し、かつ各コンポーネントの小型化、軽量化および低消費電力化を進めたことで、50 kg級衛星への搭載が可能となりました。超小型衛星「ほどよし4号」への搭載による宇宙での作動実証は、100 kg以下の小型衛星における世界初の小型イオン推進システムの実証であり、今後の小型衛星におけるイオン推進システム利用の先駆けとなるものです。

イオン推進システムは長時間(100時間以上)の作動によって真価を発揮するシステムのため、今後は衛星の軌道修正計画に沿った定常運用を実現するべく初期運用を継続していきます。

 

Table 1. MIPS-FM性能諸元

 

Hodoyoshi-4 Flight Model

High-Delta-V Model

Power consumption

27 W

34 W

Wet mass

8.1 kg

(including 0.9 kg Xe propellant)

8.6 kg

(including 0.9 kg Xe propellant)

Volume

34 cm × 26 cm × 16 cm

34 cm × 26 cm × 16 cm

Thrust

210 μN

300 μN

Specific impulse

740 s

1100 s

Delta-V for the 50-kg satellite

140 m/s

320 m/s

 

MIPS-FM

 

Figure 1.           MIPS-FM(小型イオン推進システムのフライトモデル)の外観

 

MIPS-FM test

 

Figure 2.   MIPS-FMのイオンスラスタ作動写真