プレスリリース

2019.10.07

初めてクーパー対を2本の細線に弾道的に分離-1次元電子系を用いた量子情報処理技術の新展開-:物理工学専攻 上田健人(D2)、樽茶清悟教授(研究当時)ら

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター量子機能システム研究グループの上田健人研修生(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 博士課程2年)、松尾貞茂基礎科学特別研究員、樽茶清悟グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授(研究当時))らの研究チームは、並列に配置された2本の半導体ナノ細線上にジョセフソン接合[1]を形成し、超伝導[2]体中のクーパー対[3]を構成する二つの電子を2本のナノ細線へ、高効率で弾道的[4]に分離することに成功しました。
本研究成果は、量子情報処理技術[5]の基盤となる量子もつれ状態[6]を二つの1次元電子系に形成し、それを制御してマヨラナ粒子[7]などの新しい量子物性を発現させ、また固体中での量子もつれ状態の物理を解明するための重要な基盤技術を提供します。
超伝導体中のクーパー対は、「非局所的[8]」な性質である量子もつれ状態を持つため、二つの電子を分離できれば、量子情報処理の高速性が期待されます。しかし、これまでクーパー対を分離するには、電子の閉じ込め構造である量子ドット[9]を用いる方法しかなく、分離した電子の持つ量子もつれ状態に関する研究は停滞していました。
今回、研究チームは、並列に配置した半導体ナノ細線インジウムヒ素(InAs)に超伝導体アルミニウムを接合したジョセフソン接合デバイスを作製しました。接合間を流れる超伝導電流を測定した結果、量子もつれ状態にあるクーパー対が2本のナノ細線中へと効率良く分離する現象を発見しました。
本研究は、科学雑誌『Science Advances』の掲載に先立ち、オンライン版(10月4日付け:日本時間10月5日)に掲載されました。

 

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_201910071039246365368599_453634.pdf

Science Advances:https://advances.sciencemag.org/content/5/10/eaaw2194?rss=1

理化学研究所:https://www.riken.jp/press/2019/20191005_1/index.html

科学技術振興機構(JST):https://www.jst.go.jp/pr/announce/20191005/index.html

日本経済新聞社:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP520683_U9A001C1000000/