プレスリリース

2019.07.18

量子暗号の到達距離を2倍に―新しい推定手法で盗聴監視の困難を解決―:物理工学専攻 小芦雅斗教授ら

量子暗号は、量子力学の性質を利用して、盗聴者の計算能力や技術レベルに依存しない強固なセキュリティを持った通信を可能にする技術です。既存の光通信技術だけで実現できることも量子暗号の特長のひとつですが、その場合には通信距離が250km程度までという限界がありました。最近、既存技術だけでこの距離を約2倍に伸ばすアイデアが注目され、世界中の研究者がセキュリティの証明に取り組みましたが、盗聴攻撃の監視にどのくらいの時間を割けばセキュリティが確保できるか、という肝心の部分が未解決でした。
本研究グループは、この新しい量子暗号方式の問題を解決し、証明されたセキュリティのもとで通信を行う具体的な手続きを与えることに初めて成功しました。この方式において、盗聴の痕跡を直接調べるには、量子力学的な特性を持った特殊な光が必要です。それを、レーザー光だけで間接的に推定する新しい手法を考案したことが、解決の鍵でした。この成果により、既存技術でも量子暗号の到達距離を500km程度まで伸ばす道が拓けました。また、解決の鍵となった新しい推定手法は汎用性が高く、光を用いる量子技術開発の促進につながると期待されます。
本研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「光・量子を活用したSociety5.0実現化技術」(管理法人:量研)ならびに科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の支援のもとに行われました。


 

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_201907181631518423964178_564125.pdf

Nature Communications:https://www.nature.com/articles/s41467-019-11008-z