プレスリリース

2017.12.06

もつれ光子対を用いて相関をもつ光子と電子の対を生成、検出することに成功 - 絶対安全な量子情報通信の長距離化に前進 - : 物理工学専攻 黒山和幸(D2)、松尾貞茂助教、樽茶清悟教授ら

量子物理学における最も特徴的な性質である量子もつれ相関は、その黎明期より活発に研究がなされてきました。これまで量子もつれ相関は、光子同士や電子スピン同士といった同種の粒子間で主に生成され、研究されてきました。しかし、光子対の量子もつれ相関を光子と電子スピンの対へ転写できることは実証されておらず、未だ挑戦的な基礎物理学の課題として残されていました。これを実証すべく東京大学大学院工学系研究科の樽茶教授、松尾助教、黒山大学院生(博士課程2年生)らは、大阪大学産業科学研究所の大岩教授、藤田助教らと共同で、単一の偏光もつれ光子対から、GaAs量子ドット中に単一の電子スピン、空間的に離れた場所に単一光子、というもつれ対を生成、検出する実験手法を考案しました。これまで本研究グループでは、GaAs量子ドットに単一の偏光した光子を照射し、これと相関をもつ電子スピンを生成、検出する実験に成功していました。
本研究では、上記実験に、単一の偏光光子を単一の偏光もつれ光子対に替えて、光子対の一方の光子を量子ドットに照射して単一の電子、残りを離れた場所にある光子検出器に照射して単一光子を生成、検出するという実験を行い、光子と電子の対が生成できることを実証しました。これは先の単一偏光光子を用いた実験を参照すると、単一のもつれ光子と電子の対が生成できていることを意味しています。この結果は、懸案となっていた、もつれた光子対から異なる種類の基本粒子の量子もつれが生成できることを示す、世界初の実証実験です。本成果は、光を用いた量子通信の通信距離制限を打開すると期待され、中継器への応用も見込まれます。  
本研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)の助成を受けて実施されました。
なお、本研究結果は、2017年12月5日(英国時間)に英国科学誌Scientific Reportsに掲載されます。

 

 

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_201712061344229028752093_115003.pdf

Scientific Reports:https://www.nature.com/articles/s41598-017-16899-w