プレスリリース

2017.03.17

高品質な酸化亜鉛が磁性伝導電子を持つことを発見 -半導体における磁性と高速制御の両立へ道-:量子相エレクトロニクス研究センター 川崎雅司教授ら

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センターのデニス・マリエンコ研究員、川﨑雅司グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科 教授)、アンドレイ・ミシェンコ上級研究員、永長直人グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科 教授)、サイード・バハラミー ユニットリーダー(東京大学大学院工学系研究科 特任講師)、マックスプランク微細構造物理学研究所のアーサー・エルンスト研究員、東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授らの国際共同研究グループは、非磁性半導体である「酸化亜鉛」の伝導電子が、磁石の性質(磁性)を持っていることを明らかにしました。

「磁性半導体」は、電気的に磁性を制御できる不揮発性メモリなどの新たなエレクトロニクス素子を作ることができるため、低消費電力デバイス用の新たな材料として注目されています。非磁性半導体にマンガンなどの磁性元素を少量混ぜると伝導電子が磁性を持ち磁性半導体となりますが、磁性元素は半導体中の電子を散乱するため、電子の移動速度が低下し半導体の特徴である高速な電気的制御を阻害するという問題がありました。一方で、2015年に川﨑雅司グループディレクターらは、従来の半導体と同程度に高品質な酸化亜鉛の単結晶薄膜の作製に成功しています。その中を流れる電子は電子同士の反発が強く、磁性を持たせるのに有利であることが分かっていました。

今回、国際共同研究グループは磁性元素を混ぜることなく、電子同士の電子的な反発のみを利用して非磁性半導体の酸化亜鉛の伝導電子に磁性を持たせることができることを発見しました。まず、酸化亜鉛を流れる伝導電子の特性を磁場中で詳しく調べたところ、伝導電子が磁性を持つときに特徴的に生じる「異常ホール効果」を観測しました。さらに、理論的解析の結果、酸化亜鉛中に存在する少量の結晶欠陥(欠陥)が小さな磁石として働き、伝導電子に磁性を持たせていることが明らかになりました。

本成果は、従来の半導体では困難であった磁性と高速制御の両立という問題に対して解決の手掛かりを与えると考えられます。今後、動作温度の向上やデバイス化を進めることで、低消費電力デバイスへの応用が期待できます。

本研究成果は、国際科学雑誌『Nature Communications』(316日付け:日本時間316日)に掲載されます。

本研究は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(S)「酸化物二次元界面の量子機能とデバイス応用」および「磁性体における創発電磁気学の創成」の支援を受けて行われました。

 

 

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_20170317103907108771421791_736820.pdf

 

 

 

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