見学情報

工学部訪問記:西大和学園

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No.5 橋本敏和

はじめに

この小文は、平成16年度西大和学園スーパーサイエンスセミナーの一環として、最先端の科学技術を知り、触れることを目的に同年10月12日に訪問した東京大学工学部で見聞した事をまとめたものである。

工学部の概要

工学部は明治19年(1886年)に帝国大学工科学部として設置された。科学技術が社会の中で活きてこそ意味があるという工学の原点から様々な取り組みを行っている。原子レベルでの物質の理解からそれらを組み立てて構造化する技術まで、情報の意味を問うことからその効果的な伝達・処理技術まで、さらにこれら全ての技術が及ぼす社会的影響の評価に到るまでと、限りなく広範な守備範囲と手腕を持ち、それぞれの取り組み方で創意工夫し工学の一端を担っている。

工学部見学

機械工学専攻―金子成彦教授研究室、産業機械工学専攻―光石衛教授研究室、情報理工学系研究科知能機械情報学専攻―下山勲教授研究室の3研究室を見学させていただいた。
機械工学専攻の研究室では、天然ガスやバイオマスガスを用いたマイクロガスタービンの研究が行われていた。バイオマスガスとは生ごみや木、植物性の物から取り出したガスのことで天然ガスと同じく有害物質が少なく環境によいもので、マイクロガスタービンとはそのガスを燃やし、そのエネルギーを用いてタービンを回し電気を生むというものである。元は一部のラジコンに使われていたものだがこれを将来の新しい電力源として使えないだろうかという考えの下に研究が進められている。このマイクロガスタービンの利点として、ガスを燃やした後に残った熱エネルギーを二次利用できるという事だが、それをまた火力発電などに使うには大規模な物が必要となってしまい、今の状況ではせいぜい熱を使って水を沸騰させる程度のものである。だからマイクロガスタービンは大型大量発電というよりも小型分散発電として各家庭に置けるような物として考えられている。これらは電気代だけでなく湯を沸かすガス代などの光熱費関係全ての節約になるので経済的にも環境的にも将来役立つと考えられる。

産業機械工学専攻の研究室では、医療に利用できるロボットの開発が行われている。現在医療関係の手術は全て直接医師の手によって行われている。その場合には患者の体を切開して行われるわけだが、やはり切開する部分はできる限り少なく済ませるのが理想的である。しかし人の手によるものではある程度開かなくては行うことは不可能なので、実際の手術は微細なロボットを使い、それを医師が遠隔操作することで切開部を最小限にしようというわけである。例えば、腹腔鏑下低襲手術では外部から器具を用いて手術するわけだが、医師からは中の状況が判り辛い上に器具の形は直線的なものなので非常に行い難いのだが、ロボットを使い、カメラを取り付けることで医師は離れたところから中の様子を知りながら手術を行え、さらに先端に曲げれるように改良を加えることでより手術をやりやすくしている。これは一例に過ぎず、他にもさまざまな形で医療の手助けになっているロボットは存在している。まだ実用の域に達していないが、いずれ実用化されれば医療技術を大いに向上させることとなるだろう。

情報理工学系研究科知能機械情報工学専攻の研究室では、より高密度、より高性能な機械の製造が行われていた。その内の1つに昆虫を例に作られたものがあった。昆虫は2.5億年前からその姿を変えておらず、またその大きさが小さいために重力や慣性などの体積に関する現象の影響は小さくなるが、表面張力、静電気力、摩擦力などの表面に関する現象の影響が大きくなるということから重きが置かれたようだ。例を挙げるとカイコガの触覚の働きをモデルにしたものやチョウの羽ばたきをモデルにしたものアリの六足歩行をモデルにしたものがありました。これらはそれぞれに特性があり、カイコガの触覚をモデルにしたものは事故現場のガス漏れの場所などを発見でき、チョウの羽ばたきをモデルにしたものは人を運ぶのには向かないものの少ない動力で物を運ぶことができる。アリの六足歩行をモデルにしたものは常に3点で歩けるので安定性が高く調査用などに使える。このように新しい型の機会は次々と考えられている。

まとめ

最先端の科学技術は思っていた以上に日々進歩しているものであった。今日の社会は科学技術の恩恵なしには成り立たないのだが、それを強く実感することとなった。工学部は、確かにほとんどが機械に携わるものではあるが、それでも他学部とのつながりも決して希薄なものではなく、むしろ強く感じられた。現代の科学技術は工学に限らず、医学、生物学など多分野におけるもので構成されている。そしてそれの発展に伴い、生活環境が整い、医療が高度化するなど私たちの生活を豊かにする反面、高齢化社会の到来、大量消費による資源の枯渇や環境の汚染などの新たな問題を生みだす。それらに私たちが立ち向かっていくには学部や学科の壁を越えて協力する必要があるのだろう。
問題の解決と新たな問題の発生、この連鎖は決してなくならないものかもしれないが、それでもお互いに協力し合って取り組む姿勢は大切だと思う。

 

(日本語のみ)