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工学部訪問記:西大和学園

工学部訪問記:西大和学園 |No.1No.2No.3|No.4|No.5

No.4 相浦大司

はじめに

今回の訪問は、SSH指定校である西大和学園の活動の一環として、10月12日に東京大学を訪問させて頂いたもので、本文はその中でも工学部の研究について訪問記という形で記したものである。

東京大学工学部の特色

東京大学工学部は、明治19年(1886年)に帝国大学工科大学として七学科を設置され、現在は17学科で学生数は約2000人、教員数は約1100人で構成されている。教育過程は最初の2年で工学の基礎知識を学び、次の二年で専門学習(航空・機械・電子・化学など)をするというシステムを採っている。東大生の場合、工学部で進学した7割以上もの生徒が大学院に進み、修士課程を2年間、博士課程を3年間受けることでより高度な教育を持って社会に出て行くことが出来る。
特色として「工学知」を重視することが挙げられる。社会において解決すべき問題の多くは、1つ1つは単純であっても多くの事象が関連することで複雑になってしまう。そこで工学に関する全ての知識「工学知」学び、工学に何ができるか、を考えることが必要とされるのである。また、今回の訪問のような公開講座、共同研究を通じて、開放的な大学であることも1つの特色と言えよう。
工学の基礎知識と共に、技術の社会における地位を理解することで、国際社会に通用する人材を育てるのが東京大学工学部なのである。

東京大学工学部の見学

最初に下山勲教授研究室でナノテクノロジーを使った機械についての説明を受ける。ここでは環境適応行動を取る昆虫をお手本にした小さな機械を作製している。具体的には、カイコガの雄は雌を探すのに匂いを使うという性質を利用し、特定の信号を頼りに発信機に辿り着く機械や蟻のように6本の足を巧みに使い、バランスを保って動く歩行機械を作製している。また、ここで言う環境適応行動とは、サイズが大きければ重力が大きくなるが、小さければ静電気力、摩擦力が大きくなるので歩行には向かないというような、それぞれの体にあった性質を身に着ける行動のことを言う。普段注意を払うことも無く、工学とは全く関係のなさそうな小さな生物を手本として採用するところに発想の柔軟性が現れていて、新しいことを思いつくにはやはりどんなことにでも注意を払うことが必要であることがわかる。

次に小穴英廣講師に工学部の概要や最近の研究の紹介を受け、金子成彦教授研究所でマイクロガスタービンの特色についての説明を受ける。ここでは従来のガスタービンに比べ、環境に良いマイクロガスタービンの開発研究している。現在開発されているものでは、タービンで空気を取り込み燃焼させ、ジェットとして外に出すという仕組みなので、メンテナンスがし易く騒音がない。また二酸化炭素の排出量を抑えることができ、非常に環境に良いものがある。さらに、元々航空機用のものを転用したので発電力が高く、小さいものでも2世帯の電力を供給することができるという利点もある。環境に易しいものを作るためにはマイクロガスタービンの知識だけでなく「工学知」を必要とする。「工学知」を学生がしっかり理解していることを身をもって感じた。

最後に光石衛教授研究所で、医学との共同研究についての説明を受ける。ここでは、医学部、工学部と言う学部を超えた研究を行っている。手術後の回復を早めるために体に小さな穴を開けてそこから菜箸を2本入れて手術をするための機械の開発である。初めは菜箸を直接手で操作することから始まったのだが、執刀医の手の震えで関係の無い部分まで傷つけてしまうという欠点があったため、菜箸の操作を機械にさせ、今では執刀医がその場にいなくてもモニターを見ながら機会を操作することで手術ができるようになった。しかし、手術を受ける側としてはやはり人間の手でやってもらいたいという人もいるだろう。増して遠距離で手術をする場合はなおさらである。いかに技術が進歩したとしてもこの不安だけは取り除くことはできないだろう。

まとめ

東京大学工学部は柔軟な考え方を持ち、研究することに対して貪欲な生徒が集まった大学であった。国際社会に必要な基礎知識を学び、自主性を持ち、そして何よりも「やる気」に満ちている。その「やる気」に満ちているのは東大のもう1つの特色のおかげであるだろう。先に述べた通り、東大ではどの分野を専門的に学びたいのかを決めるのが最初の2年で基礎知識を学んだ後である。
つまり、発想がどんどん広がっていくから「やる気」に満ちているのだ。色々なことに目を向け、たくさんの情報を得ることは大切であることを実感した。よって、「これは関係ないから知らなくても良い」と言ってその時必要なものだけを知るのではなく、1つのことに関して視野を広げて考えることができるように努力するべきであることを、今回の東京大学工学部の訪問で一番感じたことであった。

 

(日本語のみ)