「工学」それは意思を実現する体系

高温超伝導が生まれる過程に新しい電子構造を発見 -従来の常識を覆す、理論予測と実験による実証- : 物理工学専攻 酒井 志朗助教、求 幸年准教授、今田 正俊教授Japanese Page

2013/08/22

発表のポイント:
◆銅酸化物が超伝導になる直前の電子状態が、従来の予想を覆して、超伝導になってからの電子状態と全く異なることを世界で初めて理論予測と実験実証の連携で示した。
◆これまで見過ごされてきた正のエネルギー領域に、電子の存在できない範囲を示すギャップ構造を発見した。この発見は高温超伝導の成り立ち方についての考えを変えるものであり、今後の高温超伝導研究の流れが変わると期待される。
◆この成果を活用し、高温超伝導理論を確立することで、今後さらに高い温度で動作する高温超伝導物質の開発が加速される。
◆今後、この成果を活用してスーパーコンピュータ「京」の戦略プログラム課題と連携し、「京」を利用した高温超伝導の物質探索、機構解明を行なう。

 

発表概要:
ある種の銅の酸化物は、現在知られているあらゆる物質の中で最も高い温度で超伝導を示します。その仕組みは未だ解明されていませんが、超伝導が物質中の電子によって担われていることは分かっており、超伝導になる直前の金属状態において電子が示す異常な振る舞いが超伝導発現に深く関係していると考えられています。一般に、物質中には電子で満たされている低いエネルギー領域(ここでは負のエネルギー領域と呼びます)と、電子がいない高いエネルギー領域(正のエネルギー領域)があります。超伝導の仕組みを解明するには、銅酸化物中の電子構造について、負のエネルギー側と正のエネルギー側、両方を理解する必要があります。これまで、銅酸化物について、負のエネルギー領域は詳しく調べられてきましたが、正のエネルギー領域については、これを実験的に調べる手段が乏しく、大部分が未知でした。
東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻の酒井 志朗助教、求 幸年准教授、今田 正俊教授らは、この異常な金属状態の電子を調べ、電子の持つエネルギーのうち、従来見過ごされてきた正のエネルギー領域に、異常さを理解する鍵となる電子構造があることを見出しました。
本研究では、まず銅酸化物の理論模型についての大規模数値計算を行いました。同時に、パリ第7大学の実験グループと共同で、銅酸化物に、ある波長の光を当てた時に電子が放出する光の波長・強度分布を解析し、正のエネルギー側の電子構造を調べました。その結果、正のエネルギー領域のある範囲で電子が存在できないような構造(ギャップ)があることを明らかにしました。
このことは、超伝導が出現する元となる金属の電子構造が従来考えられてきたものとは本質的に異なることを示し、今後の高温超伝導発現機構の研究の流れを変えるものと期待されます。

 

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