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東京大学大学院工学系研究科長 東京大学工学部長大久保達也 Tatsuya Okubo

Profile
1960年生まれ。83年東京大学工学部化学工学科卒業。88年東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻博士課程修了。同年九州大学工学部応用化学科助手、91年東京大学工学部総合試験所助手、93年米国カリフォルニア工科大学客員研究員を経て94年東京大学工学部化学システム工学科講師に就任。97年東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻助教授、2006年同教授に。17年より現職。

工学が複雑化した社会課題を解決する
大志を持って未来を切り拓き世界を牽引しよう

豊かな時空間を用意し無限の可能性を引き出す

 東大工学部は1877年に創設された工部大学校を起源とします。1886年に東京大学工芸学部と合併し帝国大学工科大学が誕生。1949年に東京大学工学部となりました。明治維新に始まる近代化の過程で、政府は殖産興業政策をとりました。工学部は西洋の進んだ科学技術を導入するため、それを担う人材を輩出してきました。また戦後は、焼け野原となった日本の復興と高度経済成長の基盤を支えました。一貫して日本のものづくりの発展と経済の成長に寄与してきたのです。
 近年、工学は対象を大きく広げ、環境、エネルギー、健康、情報など、「もの」だけでなく「こと」にも対応する学問へと進化してきました。一般に「理学は基礎を学ぶもので工学は応用を学ぶもの」と考えられがちですが、これは大きな誤りです。最先端の基礎科学を踏まえながら応用を常に意識し、その中で解を見いだそうというのが工学の発想です。そのため工学の研究範囲は非常に広いのです。
 今、社会の課題は複雑化しています。例えば環境、エネルギー、資源、食料、水の問題はすべて相互に関連しています。そのため、一つの解が別の問題を引き起こす例は枚挙に暇がありません。このように複雑化した、簡単に解の出ない課題には、幅広くかつ奥深い技術や知見で解決策を見いだすことが不可欠。それができるのは工学を学んだ人材です。
 国連は2030年までに解決すべき国際目標として、「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げています。17のゴールに盛り込まれた健康、衛生、水、エネルギー、技術革新、まちづくり、気候変動といった課題はいずれも工学と深く関連するもの。工学を学ぶことは未来を切り拓くこと、社会をつくることに直結します。工学は非常に魅力的な学問であり、ぜひ情熱とチャレンジ精神を持って工学部に飛び込んで来てほしいと思います。
 皆さんが持つ無限の可能性を引き出すため、工学部は充実した環境を整えています。誕生時には7つに限定されていた学科は現在16。大学院では18にまで広がっています。誰でも必ず興味の持てる分野が見つかるはずです。
 学部生1人当たりの教職員数が多く手厚い指導ができるのも特徴。その専門は数学、物理、化学といった基盤的な分野から経済学に近い分野までバラエティー豊かです。ノーベル賞候補となっている教員も複数います。経験が豊かで最先端の知識や技術を持つ教員が、広い視野と深い専門性を養う体系的な教育を提供します。卒業論文で世界的な成果をあげるケースも決して珍しくはありません。
 これからの時代に不可欠なアントレプレナーシップやイノベーションに関連するプログラムも整えています。その一つが2017年3月にオープンした「工学系研究科産学連携先進工房」。3Dプリンターや工作機械を設置し、学生が自由に使える環境を整備しています。専門の職員も雇用し、今後さらに設備を増強していく考えです。
 工学部の周辺にインキュベーションを支援する施設も準備中。ここからイノベーションを生み出し、工学部を中心に、本郷周辺をシリコンバレーに対抗するような地域へと発展させることを目論んでいます。
 海外留学のプログラムも拡充させています。工学部独自で留学のルートを開拓しているほか、今後は資金面の支援も拡充していきます。
 現在、工学部の女子学生の比率は12%ですが、ダイナミズムはダイバーシティーから生まれるという発想から、性別も年齢、国籍も多様な学生が集まる学部、大学院にしたいと思っています。活気あふれるキャンパスの中で創造性の息吹を感じ取ってほしいと思います。
 今の学生は就職活動に振り回され、時間を奪われがちです。しかし、工学部の学生は学部生はもちろん、修士であれ博士であれ、就職について何も心配ありません。
 工学部は創設以来、優秀な卒業生を数多く輩出していますし、またどこの学科も同窓会組織が非常に強固。こうした人的ネットワークは貴重な財産であり、キャリアを考える上でも存分に活用できます。2012年には「理工連携キャリア支援室」を設立。進路相談、就職支援にきめ細かく対応する体制を整えています。
 工学部は学生の皆さんがやりたいこと、挑戦したいことに打ち込める豊かな時空間を用意しています。ぜひこの環境を有効に活用し、仲間と切磋琢磨しながら力を蓄え、自己実現してほしい、思う存分自分のやりたいことにのめり込んでほしい、と思います。イノベーションを起こし、未来を切り拓き、世界を牽引する人材として羽ばたくことを期待しています。

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