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バイオエンジニアリング専攻 笠原慶亮さん(M2)が「第59回日本生物物理学会年会 学生発表賞」を受賞されました

 

2021年11月27日、バイオエンジニアリング専攻 笠原慶亮さん(M2)が「第59回日本生物物理学会年会 学生発表賞」を受賞されました。

 


第59回日本生物物理学会年会 学生発表賞
当該学会の年会において優秀な発表を行った学生会員を表彰する賞です。

 

受賞された研究・活動について
題目「抗体表面への正荷電残基変異導入による抗体のpH非依存的な熱安定性獲得機構」

Superchargingは蛋白質表面に荷電残基を変異導入することで物性機能を向上させる手法です。治療や診断に広く応用される抗体に本手法を用いた例は少なく、小型抗体(scFvやNanobody)のSuperchargingのみ報告されていました。私たちは抗体Fabの可変領域にSuperchargingを計算によってデザインし、その物性機能への影響を探りました。負電荷を帯びたモデル抗体に対して、強い正電荷を帯びた変異体を作製し、pH 6または8のリン酸緩衝液条件下で、物性機能解析を行いました。モデル抗体はpH 8のときに熱安定性が低下したのに対し、正電荷変異体は両条件で熱安定性を維持していました。二次構造と抗原結合能については全条件で両者間に有意差はなく、構造や機能を維持しながらpH非依存的な熱安定性を獲得していることが示唆されました。さらに分子動力学シミュレーションを用いた解析により、正電荷変異体の表面にはリン酸イオンが選択的に相互作用することが示唆されました。私たちは、正電荷Superchargingによって、リン酸イオンの選択的溶媒和が増加し水和が減少することで、抗体が熱安定性を獲得したと考察しました。[Kasahara et al., BBRC (2021)]

 

今後の抱負・感想
手厚くご指導してくださった津本先生、黒田先生を始め研究室の皆様と一昨年度卒業された河出先輩に深く感謝申し上げます。本受賞を励みに、益々研究を発展させていきたいと思います。