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若手研究者紹介:安川和孝 講師

 

若手研究者紹介:052

 

エネルギー・資源フロンティアセンター/システム創成学専攻 加藤・中村・安川研究室 安川和孝 講師

 


【経歴】
2008年3月:東京大学工学部システム創成学科 卒業
2010年3月:東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻修士課程修了
2010年4月〜2012年3月:環境省
2012年4月〜2015年3月:日本学術振興会特別研究員 (DC1)
2015年3月:東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻博士課程修了 博士 (工学)
2015年4月:東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻助教
2019年3月-現在:東京大学大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター 講師

【研究について】
私たちが暮らす地球表層の物質循環は非平衡過程であり、時としてグローバルな環境変動を引き起こしたり、特定の元素・物質が不均質に濃集することで人類社会に有益な資源を生み出したりしてきました。私は、地球科学的な知見をベースにこうした地球の物質循環を読み解くことで、人類が抱える環境問題・資源問題という重要課題を俯瞰的に理解し、それらの解決に向けたアプローチを提案したいと考えています。そのために現在、以下のような研究に取り組んでいます。

<フロンティア資源の実態解明>
現代社会を支える様々なレアメタルの新しい供給源として、海底鉱物資源が注目を集めています。その一方で、こうしたフロンティア資源については未解明の部分が多く、有望な資源がどこにどれだけあるのかを明らかにすることは、各国がしのぎを削っている最先端の重要課題です。そこで、高精度な化学分析手法を駆使して、海底鉱物資源に含まれるレアメタル濃度やその空間分布など、フロンティア資源の実態解明に向けた研究を進めています。

<資源成因の解明と探査指針の構築>
資源とは、有用元素の異常濃集体です。自然界においてなぜそのようなものができるのか?どんな物質や物理化学過程が関与しているのか?多元素の地球化学データに潜む資源成因の痕跡を、多変量解析などのデータ科学的アプローチにより読み解くことを目指しています。また、海洋環境の変化と海底鉱物資源の生成の関連を明らかにすることも大きな目標です。資源生成に必要な条件が明らかになれば、広大な海洋の中で詳細な探査を進めるべき有望エリアを効率的に絞り込むための指針が得られると期待できます。

<気候変動に対する地球システムの応答特性の解明>
人類にとって喫緊の重要課題の1つが、気候変動 (地球温暖化) 問題です。地質学的な時間スケールで見ると、急激かつ大量の温室効果ガス放出に対して地球システムが自浄作用を働かせ,余剰な炭素が除去されると考えられています.この「負のフィードバック応答」の特性を定量的に理解したいと考え,過去の温室地球の情報を記録した地質試料の化学分析・データ解析や、地球表層における元素循環の数値シミュレーションを行っています。


【今後の抱負】
資源と環境についての研究を進めるにつれて、それらは地球システム内において本質的に不可分のものであるという認識を強めてきています。実験・分析・解析・理論の各手法をさらに深化させることで、人類が抱える二大グローバル課題の解決に繋がる具体的な提案を打ち出していきたいと考えています。

【WEB】
研究室:https://kato-nakamura-yasukawa-lab.jp/
Researchmap: https://researchmap.jp/ky00757742